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おねしょ・おもらし譚(たん)
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 おねしょ・おもらしの一側面

 子ども達のおねしょやおもらしで悩まれているお母さん方も多くおられると思います。学童保育所にもおねしょ・おもらしでお母さんを悩ます子ども達も通ってきます。指導員も結構、相談を持ちかけられますが、そんな中からのお話です。おねしょやおもらしの要因としては、膀胱が小さいなどの身体的・生理的な要因の他に、心理的な要因があると言われています。例えば、「おねしょ・おもらしをするのは、母親(父親)へのひとつのサインである。」ということをよく聞きます。「まだまだ、僕は赤ちゃんのように、世話をして欲しいの。」という、子ども達からの訴えだとする考え方です。私の経験もそれを裏付ける例も少なくはありません。

 気にしないのもひとつの対処法

 子ども達がおねしょ・おもらしをすると、つい怒ってしまわれる方も多いと思いますが、それは避けるべきだと思います。原因が身体的であれ心理的であれ、子ども達には何ら責任が無いんです。今は、大人になった親たちも、おねしょ・おもらしからの卒業時期の違いはあれ、必ず通った道だったのを忘れて、子ども達を責めるのは酷です。おねしょ・おもらしは普通の出来事として、その原因を取り除けるまではあまり気にしないで子ども達に接しましょう。その方が、かえって原因除去の時期を早めるようですし、反対に怒ったり責めたりするような接し方は、特に心理的な要因の場合状態をさらに悪化させる事もあるそうです。

 あるひとつの「おねしょ話」

 ある3年生になる男の子(Zくん)がいました。私は常々、学童保育所の子ども達に、「いつでも、先生のとこ(ところ・家)へ来てもええで(いいよ)。」と言っていたものでしたから、ある日「ほー先(私の呼び名)とこ行ってもええ?」とZくんから申し出がありました。「そやな、その日は土曜やから泊まってもええで。」と応えると、少し戸惑いがみられたものの「うん、そうするわ」との返事。後で、お母さんに伺うと、Zくんはおねしょをほぼ毎日するそうで、返事を戸惑った理由が分かりました。
 いよいよ当日の夜、「お母さんから、おねしょのこと聞いたで。でも、そんなん誰だってやってるし、先生だってあんたと同じ歳までやっとったわ。」と安心させ、更に布団とシーツの間にビニールを敷き「これで完璧や、やってもええで。」とだめ押ししました。するとどうでしょう、その晩はZくんはおねしょをしなかったのです。更に更に、その後もおねしょの頻度が極端に少なくなり、やがてお母さんに心配をかけなくなったそうです。

 おねしょ・おもらしは子どもの特権

 この話は、あくまでもひとつの例ですべてに当てはまるわけではありません。しかし、キャンプ(2泊3日)に行って(自立の促し効果)おねしょが無くなった子ども達の例も、私が直接経験した中でも少なくはありません。要するに、子ども達にどうすればおねしょ・おもらしをせずにいられる「力」、それが身体的能力であれ精神的能力であれ、それをどう育てるかを周りのおとなはよく考えて子ども達のおねしょ・おもらしにつきあって行くべきではないでしょうか。おねしょ・おもらしはある意味では子どもらしさを表す、子ども達のひとつの特権でもあると思うからです。

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