ビー玉と調整力
ビー玉がつかめない?!
以前、学童保育所でこどもたちに、ビー玉あそびの一つ「天国と地獄」を教えていた時、思わず考え込んでしまったことがあります。このあそびは、ビー玉を親指と中指でつまみ、人差し指ではじくというやり方であそぶのですが、ほとんどのこどもがこれがなかなか出来なかったのです。最近のこどもたちの変化をある程度は予想していたのですが、ビー玉をつまむことすらもどかしい子すらいたのには、驚かされました。丸いつるつるしたビー玉を、よく使う人差し指でなく中指と、親指でつまむので、加減がわからず、すぐに落としてしまうのです。また、どうにかつまめるようになっても、今度は人差し指ではじけない、はじけたとしてもどこに飛ぶかわからない、こんな有様でなかなかゲームをするまでに至りませんでした。
注:ビー玉のつまみ方とはじき方は、ビー玉あそび(あそびセレクト)のはじき方と投げ方を参考にして下さい。
ころ良い加減が難しい
こんなこどもの様子をしばらく見ていると、あることに気付きました。それは、何とか「天国と地獄」のゲームの形になり、その進行状況を見ていた時のことです。ビー玉をはじき方に現れていました。強くはじきすぎたり弱くはじきすぎる場合が多く、調度良い加減のはじき方が出来ていなかったのです。どうも、頭(こころ)でイメージしたとおりに、力の加減をコントロール出来ていなかったようです。ビー玉のつまみ方に話を戻して考えると、強くつまみすぎてはじけなかったり、弱くつまみすぎて落としてしまっていたのです。車でいえばギィヤーがローとトップしか無いのと同じで、これでは上達しないのは当たり前のことです。このように力の入れ方や力の抜き方をうまく調節して、状況に応じたいわばころ良い加減に苦労するのが今時のこどもたちの一つの姿なのかも知れません。
あそびは異なもの味なもの
こうした、こどもの様子にガッカリする必要はありません。例に挙げたこの「天国と地獄」というあそび、ゲームになり始めるとすごく面白いもので、かなりの長期間に渡って流行(はや)るのです。長く流行ると、子ども達の技術は上達します。もちろんのこと、ころ良い加減のはじき方も出来るようになるのです。こどもたちの調整力の無さは、加減をするような機会がただ少なくなって来ただけが原因で、こどもたちそのものには原因がないのです。うまくはじけないことが「天国と地獄」のあそびの敷居を高くしていたのに、その同じあそびがはじき方を上達させるとは、あそびとは、まったく異なもの味なものです。
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