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九九を考える
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 九九の苦手なこどもたち

 最近、高校によっては数学の授業で九九を教えているという話をよく耳にします。また、九九をよく間違える大学生さえ少なくないそうです。当然、小中学校での様子は、想像に難くはありません。この様に、今時のこどもたちはどうも九九が苦手なようです。また、そんなこどもたちに、気をもんでおられる親御さんたちも多いと思います。むかしいまも、こどもたちは九九に悩まされることはよくあることと思いますが、むかしはこれほどではなかったのではないかと、思われるでしょう。確かに九九の苦手な度合がむかしに比べ、ひどくなってはいそうです。

 七の段が覚えにくい

CUT-勉強1  では、何故そうなったのでしょうか。その答えを考える上で、今のこどもたちは九九のどこに苦労しているかを見てみましょう。まず気付くのが、九九の間違いの多くが七の段に集中していることです。これは、現場の小学校の先生方からもよく聞くことです。より数の大きい八や九の段でなく、七の段に間違いが集まるにはそれなりのわけがあります。

 まず問題になるのが、七の段の声に出して言う時の滑舌(かつぜつ)の問題です。小学校の算数の教科書では、七の段は、「しちいちがしち」「しちにじゅうし」などと発音します。これは、他の段に比べ発音が難しくなっています。特に、「しちしちしじゅうく」は、多くの人が舌を噛みそうになるくらいです。しかも、声に出さずに心の中で言ってもあまり変わりはありません。要するに、七の段を覚えるには、声を出す出さないに限らず、繰り返し繰り返し言うには困難を伴うということです。当然、間違えて覚える割合も他の段に比べて大きくなります。

 また、七という数は、二や五や九などに比べ繰り返し同じ数を加えていく時の難しさも違います。二や五や九の段などは、かけ算の仕組みを理解していれば、もし九九を忘れてもすぐ答えを見つけやすいのです。例えば、「ごひち」を忘れても「ごろく」を覚えていれば、答えはすぐに出せます。

 九九とかけ算

 次に気付くのが、九九は知っていてもかけ算を理解していないことです。3×8(さんぱ)は言えるのに8×3(はちさん)を間違える、九九は知っているのに一桁のかけ算の応用問題が解けないなどが、その例です。この様な状況が著しくなってくる時期は、九九の学習が小学三年生時から二年生時になった時期とほぼ一致していると思われます。かけ算の仕組みを理解するには、二年生では時期が早すぎるか、理解するには時間が短すぎるかのどちらかでしょう。あるいは、その両方かも知れません。

 この様に、かけ算の仕組みを理解する上には、適切な時期と適切な期間があると言えます。その適切な時期・期間はこどもによって違いがあり、一律に同じではありません。こどもの発達に則した理解のさせ方が重要となってきます。ともかく、かけ算の理解を教える時は、その問題点をよく考えてこどもたちと向き合う必要がありそうです。

 九九と善意の勘違い

 その他に、こどもたちの九九の覚え方を見ていて気付く点は、「反対読み九九」や「一つとばし九九」をよく見かけることです。「反対読み九九」とは、「くくはちじゅういち」から逆に言っていくやり方で、「一つとばし九九」とは、文字通り一つとばしに言うやり方です。

 これは、はじめから九九を順に言わないと、かけ算の答えがでないようではいけないと、先生方が工夫をされてこどもたちに指導されている事で、珍しいことではありません。しかし、その効果が上がるかどうかは、定かではありません。ともすれば、逆の効果が現れることもしばしばです。しかも、九九をなかなか覚えられないこどもたちにとっては、かえって足を引っ張りかねません。そのことにより間違えて九九を覚える確率も大きくなるからです。

 記憶と九九

 次に、九九を記憶という側面から考えます。かけ算を覚えるには、かけ算の仕組みを理解するかどうかをひとまず脇に置いて考えれば、九九の表をどれだけ正確に覚えるかが重要です。言い換えれば、正確に記憶する事です。しかし、この記憶というものは両刃の刃で、正確なことも間違ったこともわけへだてなくひとまず記憶されますただ、それぞれは別な回路を経て記憶されます。九九をマスターすると言うことは、正確なことだけを思い出せるということです。

 七の段で滑舌につまったり無理な「反対読み九九」をして、間違った答えを言えばその都度、間違いが記憶されていきます。その記憶ごとに、脳の中では間違った記憶への回路が太くなっていきます。こうして、間違った記憶への回路が、正確な記憶の回路よりも太くなれば思い出すのが難しくなります。

 どのように九九を覚えるか

 以上のことを、反対の方向から見てみると、九九のよりよい覚え方が見えてきます。脳の中に正しい九九の太い回路を作ればいいのです。そのためには、九九を無理に暗記するのでなく、読み方のついた九九表を書いてある順番(逆順は必要なし)に、声を出して読み上げることを、くり返せばいいのです。ただ、ひらがなだけを見ていたら、凡人がお経を覚えることと変わりがありませんので、1×1=1などの式を一緒に見る必要があります。ただ、たいていの九九表は、そのようになっているので活用しましょう。遊邑舎では、滑舌のことも考慮して、九九表を作りました。参考にして下さい。
(遊邑エッセイ「 遊邑九九表 」参照)

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