コマまわし
コマについて
コマには、いろんな種類がありますが、ここではひもで回すコマを取り上げます。そのようなコマにも、木ゴマ(芯が木のものと鉄のものがある)、プラスティックゴマ、缶ゴマ(ブリキで作られたもの、一部プラスティックが使われているものも含む)、鉄ゴマ(木ゴマに鉄の輪が巻かれたもの)などがあります。幼少者や初心者には缶ゴマが最適と思われます。
コマまわしについて
テレビ番組の影響で特別製の道具を使って、これも特製専用台の上で合金製の「ベイゴマ」を回す子ども達を見かける反面、子ども達のコマを器用にしかも一心不乱に回す姿が、私たちの周りから影をひそめて久しくなりました。
一方、保育所や学童保育所・児童館などでは、地道な取り組みが行われています。しかし、コマまわしはかなり技術が必要とされ短い期間の取り組みではなかなか大きく発展しないことがしばしばです。また、取り組みにあせって子ども達に過度の働きかけをしてしまい、コマまわしが嫌いになってしまう子どもも出ることもあります。舎主の経験ですが、保育所でコマまわしが嫌いになった子どもにコマまわしを好きになってもらうのにかなり苦労したことがあります。
そこで、どうすればコマまわしを嫌いにならせずに、コマまわし(剣玉・お手玉など技術が必要とされる「あそび」)を覚え上達してもらうには、どうすればよいかを考えてみたのが、「コマまわし(あそび)」の取り組み方と「コマまわし(あそびの)段級位表」です。好きにならなくとも、嫌いにならなければまだ道は残されるのです。この点が「教える」ということに共通して大切な事だと思います。
コマまわしの取り組み方
指導者の基本的スタンス
まず、大切なのが絶対に参加の強制をしないことです。コマまわしが出来ないことは、人間として生きていく上でも、一人前のおとなになる上でも必要不可欠ではないのです。もちろん、コマまわしが出来ればよりよいことには違いがありませんが。要するに、コマまわしだけを絶対視したり、コマまわしもできないようではと考えたりしないことです。逆説的に、コマまわしは出来なくてもいいんだと考えてやるくらいが妥当だと考えます。
次に、前述の点と反対にも見える微妙な関係となりますが、コマまわしは楽しくすばらしいものだと、子ども達にわかってもらうことです。この事は難しいようで、実は簡単なことです。指導者自身が楽しく、出来れば上手にコマを回すのを見てもらうことです。コマ自体が、回ることによって子ども達を魅了してくれるのです。願わくば、同じ子ども達がコマを回すのを見せてくれれば最高です。以上はコマまわしの指導上の留意点ですが、これは剣玉・お手玉などの技術を要する「あそび」の指導に共通のことです。
取り組みの期間
続いて、コマまわしの取り組みの期間ですが、期間の制限によって参加に強制が働かない長さが必要です。要は、最後まで残った子どもが自発的に参加できて、しかも回せるようになれる長さか、期間を決めずにまったくの自由参加にするかの、どちらかが最高条件です。取り組まれるところの条件に制約があると思いますが、努力してみて下さい。
コマまわし段級位表について
誰もコマを回せる子どもがいない状況で、コマまわしの技術を上達させる方法として、良く「コマ教室」や「コマ道場」と銘打った取り組みが見られます。そこでしばしば活用されるのが、「級位表」や「がんばり表」などです。また、様々な「遊び」の連盟や協会などでも「段級位表」が設けられています。
ところが、この設定が難しすぎる場合も多く、とりわけ初心者には不向きだと思われます。世界一や日本一の名人になるのならともかく、技術を覚えるためだけの取り組みには考慮が必要です。はじめは取っつきやすく、それでいて次第にみんなが驚くほど上達できるように、設定されるのが望ましいと考えます。
そこで、舎主が学童保育の指導員の頃、同じ地域の指導員の方と考えたものを、遊邑舎で独自に発展させたものが「遊邑舎版コマまわし段級位表」です。是非、いろんな取り組みで試して下さい。
コマのまわし方のコツ
(特に指導者のために)
コマを回す上で、重要なのがひもの巻き方です。コマにひもがきちんと巻ければ、半分はコマが回ったも同然です。そのひもの巻き方の要が、ひものかけ方です。初心者には次に示す方法を、声に出してわかりやすく説明しながら、実際にやって見せてください。
ひものかけ方
1.まず、コマの芯を中指と薬指の股ではさむように左手で持ちます。この時、親指はコマの上に芯の左側(右利きの場合、以下同じ)に添えます。
2.ひもは右手で、端の結び目から少し(数cm)離れたところを持ちます。
3.ひもの端をコマの芯の向こう側に、コマの上にのせます。
4.ひもの結び目を左手親指で押さえます。(図−1参照)
5.ひもを芯の周りを、手前→左→向こう側へと一周させます。
6.ひもを向こう側にやや下向きに引きながら、結び目を押さえている左手親指をゆっくりゆるめていきます。これで、ひもはコマにかかっているはずです。(図−2参照)
ひもの巻き方
1.掛けたひもがゆるまないようにコマを持ちかえて、左手の人差し指でひもをしっかりと押さえながら指だけでコマを持つ。
2.ひもをコマの芯の向こう側に垂らす。(図−3参照)
3.ひもがゆるまないように左手人差し指で押さえながら、右手でひもをコマに巻いていきます。
4.ひもが巻き終わったら(10cm程あまらせる。)、ひもがほどけないように、左手指で押さえておく。
コマの持ち方
1.巻いたひもがゆるまないようにコマを右手に持ちかえて、ひものあまりの部分を薬指と小指の間にしっかりとはさみます。(図−4参照)
2.右手中指と薬指で、ひもを引き絞るようににぎる。この時、右手人差し指はコマの側面にしっかりと添える。(図−5参照)
また、親指の位置は、中指の近くの方がしっかりと持てます。
コマを回す時の留意点
はじめてコマを回す子ども達によく見られるのが、コマを地面や床に叩きつけるように投げてしまい、うまく回らないことです。これには、つぎの原因が考えられます。それは、コマを持った手の位置が、腰よりかなり高い位置にあることです。そこから、地面の上でコマを回そうとする意識から、どうしても下向きに投げてしますのです。これを避けるため、始めは意識して腰の付近にコマを持つ手を構えさせるようにするといいでしょう。
次に、うまく回せない理由として、コマが真っ直ぐに立った姿勢で着地していないことが上げられます。芯からきちんと着地しないとうまく回りません。それは、投げる前から芯を下向けて(コマを真っすく立てて)構える事が大切です。この、コマを立てる構えをとると、自然に手の位置は、低くなります。
なお、レベルが高くなると、コマをきつく回すためにバックスィングをし、コマの位置が肩より高くなる場合もありますが、よく見るとコマが手から離れる瞬間は手の位置が低く、コマの芯はきちんと下を向いています。初心者は、上記の2点を厳守してトライしましょう。バックスィングが自然にできるようになります。
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